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『晴る』MV考察

ヨルシカの「晴る」のMVが公開されたので、さっそく考察していこう。

(最初に断っておくと、考察には見落としや解釈違いがあるかもしれない。ぜひ、先に曲をお聴きください。)

全体としては、晴れ⇒雨⇒晴れという構成で、少年が逆境を乗り越える物語だ。穏やかな気持ちで聴ける、いい曲。またこの曲は『葬送のフリーレン』の主題歌でもあり、「死者を惜しむ」というテーマと深く結びついている。

結論


登場人物は二人。おじさんと子どもだ。

「おじさんはすでに亡くなっており、子どもがその死を受け入れて立ち直っていく」。これが『晴る』のストーリーだとわたしは思う。

おじさんと少年の関係

おじさんと子どもは何者なのか。サムネイルや、寝ている子どもを撫でる描写、担ぐシーンなどから、おじさんは父親のように思える。

そして、その父はすでに亡くなっている。

根拠はいくつかある。最も明確なのは2サビの水面を覗くシーンだ。子どもは映っているのに、おじさん自身の姿は映らない。ここで彼はその異常に気づく。
また冒頭、子どもは夕日に照らされた日向で眠っているが、おじさんは影の中にいる。この対比も象徴的だ。さらにおじさんの服装が汚れたままで一切変化しない点も「時間の止まった存在=死者」を示唆している。

以上から、おじさんは死後、子どもを見守る存在として描かれていると考えるのが自然だ。

なぜ子どもは泣いているのか

2番サビ、少年は雨の中で泣いている。理由は明白で「父の死」だ。

帽子の扱いが重要だと思う。父が被っていたベレー帽が、穴に置かれ、最終的に手紙とともに埋められる。これは明らかに「墓」の表現だ。

おじさんは少年を励まそうとするが、声は届かない。この「届かなさ」が、彼が死者であることを強調している。

死の原因について

確定ではないが、「戦争」の可能性があると思う。

1番終盤に登場する飛行機はクワッドジェット(4発機)。高出力で、軍用機にも用いられるタイプだ。さらに、その直後に街に煙のようなものが広がる描写がある。これを単なる気象現象と見ることもできるが、爆撃の痕跡と読むことも可能だ。

ただし、ここは断定せず保留しておく。

「雨」と「晴る」

この作品では天気がそのまま心情を表している。

1番は夕焼け。夜の前の最後の光。2番は雨。悲しみそのもの。そしてラストは晴れ。回復と再生。

おじさんが少年を担ぐ回想シーンでは空は晴れている。それは過去の幸福の回想だが、時間軸を戻すと、現実では少年の頭上には雨雲が広がっている。現在との落差が強調される。

回想のあと、終盤では父はもう登場しない。代わりに少年が1番のシーンと同じように寝ている。全ては夢だったのだろうか?父の霊が出てこないのは、それが少年の夢にすぎなかったからか、成仏したからなのか。ここは解釈の自由だと思う。

最後のシーンでは、少年は手紙を帽子のうえにそっと置く。この手紙は、少年が雨の室内で書いていたもので、父への想いをつづったものだろう。そうして気持ちの整理がついた少年が青空を振り仰ぎ、希望とともに曲が終わる。わたしはここがとても好きだ。

「晴る」と「春」

この曲ではタイトルも重要だ。

「晴る」は古語で、①天気が晴れる②心の憂いが晴れる、という意味を持つ。さらに「春」にも掛かる。「晴れ」は一時的な状態だが、「春」は季節であり、より長いスパンの回復を意味する。

つまり、一時的な回復 → 本質的な回復への移行が、この曲の構造になっているのではないか。

季節の変化についても触れておきたい。

時系列としては、おそらく秋 → 冬 → 春だと思う。回想は春、現在は冬、そして最後に再び春へ。「春を待つ」という歌詞から、「待機 → 回復」への流れが明確に読み取れる。

個人的感想

壁のモチーフがとても良い。雨の中で少年は壁の前で泣く。ラストでは、その壁から離れ、太陽を見上げる。これは「乗り越えた」というより、「手放した」に近い。また、最後に壁の上を鳥が飛ぶ。これは少年の心そのものだろう。

次に触れたいのは、郵便受けの意味についてだ。

少年は何度も郵便受けを確認する。これは、父からの手紙を待っている行為だと考えられる。同時に自分も父へ手紙を書いている。しかし当然それは届かない。最後に無人の郵便受けが映るのは、「届かないものを待つ状態から抜け出した」ことの象徴だ。

まとめ

少年は父を亡くし、悲しみに沈んでいた。手紙を書き、思い出に浸りながらも、なかなか前に進めない。しかし最終的に、父を弔い、想いを整理し、歩き出す。そのとき、季節は春になっている。

わたしがこのMVで特に好きなのは「晴る」というタイトルが出る演出。あれは正直反則レベルだと思った。

というわけで今回は以上だ。ありがとうございました!

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